静岡の保育園での虐待事件を発端に、全国で子どもに脅すような言葉を浴びせたり、罰を与えたりするような不適切な保育が明るみになっています。
不適切な保育の背景には、保育士が余裕をもって保育にのぞめていない状況がある気がします。
例えば一人きりで多くの子どもを見なくてはいけない、○時までに子ども全員を目的地まで連れて行かなくてはいけない、先輩や同僚に頼ることができない、休憩がなく子どもと関わり続けているなど、いろいろな状況が想定されます。
いずれも保育者が「テンパっている」状態に他なりません。こうした状況が生まれない工夫が、園として必要です。こうした状況を回避するために、当園ではこんな工夫をしています。
- 複数担任がチームとなって保育を行い、子どもを複数の眼で見るようにしています。3歳以上児クラスのようにたとえ一人担任であったとしても、3歳以上児全体がチームとなって連携して、互いに支え合います。こうすることで、子どもは自由に活動できるようになるし、保育士が責任や業務を一人で抱え込まないよう配慮しています
- 子どもと離れて休憩できる環境(ノンコンタクトタイム)をつくっています。
- 毎日保育士が今日の保育を振り返る時間をつくり、子どもに関する情報共有をします。
- 今回の「大きくなった会」のような行事はもちろんですが、ふだんから現場の先生が悩んでいたら、園長を含めた管理者層が安心感を与えるコミュニケーションに努め、しっかりと相談にのって、前向きに仕事ができるよう応援する体制をつくっています。
先日、NHKとフジテレビに立て続けに取材を受けたのは、以上のようなことを伝え、業界全体として不適切な保育をなくしたいという思いからでした。
実際の放映では、NHKでは防犯カメラについて、フジテレビではノンコンタクトタイムのことが主にクローズアップされており、こちらが言いたいことを取り上げてもらう、というわけにはいきませんでした。
防犯カメラについて補足すると、保育者の言動や行動を監視する目的ではありません。子どものケガやモノの紛失の時、保育者がすべて把握できるわけではないため、それをサポートするものです。
不適切な保育をなくすためには、カメラで保育士を監視するのではなく、普段から保育がしやすく働きやすい環境を整えることが重要と思います。
ただ、取材を受ける中で感激したのは、保護者の方が「(子どもを長いことこの園に預けていますが)、世の中で起こっているような事件は、この園では考えられないし、想像もできない」と話していたことでした。
残念ながら放映ではカットされてしまったようなのですが、園に対して強い信頼を寄せている保護者の思いに、感動し、胸があつくなりました。
その他、保育の制度についても話しましたが、少々長くなりますので、こちらに改めてまとめました。
いずれにしても、不適切な保育が行われないよう引き続き保育士を支え、子どもと楽しく園生活を送っていきたいと思います。
(園長 福島 正晃)