近年、家庭内の子どもの数が減少し、それに伴って地域全体でも子どもの数が大きく減っています。この変化は、一人の子どもに対する大人の関心が高まっていることを意味します。家庭では「より良い環境を整えたい」「しっかり教育を受けさせたい」といった思いが強くなってきています。
子どもは減少しているのに、大学進学率は上昇していることからも、その傾向は見て取れます。
この少子化の影響は学校にも及び、かつては1クラス40人前後が一般的だった学級も、今では少人数制が進み、自治体によっては1クラス25人学級を導入するなど、個性を尊重する教育が広がっています。たとえばGIGAスクール構想では、子ども一人に一台の端末を配布し、個別最適化された学びを推進しています。
こうした流れの中で、「一人ひとりに目を向ける教育が良いことだ」という価値観が広まり、教育産業も個人に合わせたカリキュラムを提供する方向へと大きくシフトチェンジしています。
この「個人化」の波は教育だけにとどまらず、私たちの日常生活にも深く浸透しています。今では家族それぞれがスマートフォンを持ち、同じ家に住んでいても、それぞれが好きな時間に異なるコンテンツを楽しむのが当たり前になりました。かつてのように家族全員でテレビを囲んで団欒する光景は、少なくなっているかもしれません。
こうした娯楽や余暇の多様化は、個人の遊びを広げ、自由な選択を可能にした点で、もちろん歓迎すべきことでしょう。しかし、子育てにおいて、この「個人化」の流れには注意を払う必要があります。なぜなら、子育ての重要なテーマの一つが「共感性を育む」ことだからです。
共感とは、相手の気持ちを自分のことのように感じる力です。当たり前ですが、人の気持ちは目には見えません。赤ちゃんは言葉がわからなくても、大人の表情や声の調子、しぐさから感情・心を読み取ろうとします。それは赤ちゃんが人の顔をじっと見ることで、表情から感情を読み取るためだとも言われています。つまり、私たちは幼い頃から親しい人との心の交流を重ねることで、「共感する力」が育まれていきます。気持ちを伝え合い、受け止め合う体験の積み重ねが、共感性の土台となっているのです。
だからこそ、私たち大人は子どもが人と心を通わせる機会を意識的に作ることが大切だと思います。
そのためには、子どもがゲームやYoutubeに夢中になっていたとしても、家族での団欒や共同作業、一緒に遊ぶ時間をあえてつくっていくのはいかがでしょうか。
また家庭の中でスマートフォンやタブレットの使い方について、家族みんなでルールを決めてみるのも一つの方法です。大人も一緒になって、使う時間を見直してみることで、子どもとのふれあいや会話の時間が自然と増えていきます。子どもの「共感性を育てる」という視点を持ちながら、日々の暮らしの中でできることを考えていけるとよいなと考えています。