共感と見守りが子どもの力をのばします

給食中に、3歳児(Sくん)と4歳児(Yくん)でこんな会話をしていました。

Y:2せんえんと1まんはどっちがおっきいか、知っている?
S:知っているよ、1まんでしょ
Y:えっ! なんで知ってるの?
S:だって、見たもん。まんはでかいよー
Y:おっきいの?
S:おっきいよ、こんなぐらい
(と言って、両手を大きく広げました)
Y:えっ! そんなおっきいの?
S:そうだよ、すごい、おっきいよ! こんなぐらい
(と言って、もっと両手を広げました)
Y:すごっ! まんはつえーな。どこにあるの?
S:おうちにあるよ

二人ともとても楽しそう…。「まん」と「せん」では、「まん」の方が大きいことを知っているのでしょうか。しかも「つよい」と言っている!?子どもたちの会話って本当におもしろいですね。

さて、ここで私たち保育者は、千が10コ集まると1万になるとか、百の10倍が千になるとかの「知識」を子どもに教えこもうとはしません。もちろん「万」をどこで、どうやって見たの?本当なの?なんて問い詰めたりもしません。

むしろ、子どものもっているその想像力や表現の豊かさに驚き、共感したいのです。

いま、世界的には読み書きや計算能力といった認知的能力以上に、非認知的な能力が重要と言われています。
それは、協力して物事を進められる協調性だったり、くじけずにやり抜く達成意欲・忍耐力だったり、自分の気持ちを調整する感情のコントロール力だったり、新しいアイデアを生み出す想像力だったりします。

その根底には、前向きに考え、生きる力が必要です。
こうした力を伸ばすためには、大人はどう関わればよいでしょうか。そのカギは、共感と見守りだと考えています。

「どんなことが好きで、楽しいのかな?」と子どもなりに感じとっている世界に関心をよせます。
大人から見ると、無駄で意味がないと思うような行動でも、口出しするのを減らします。「お母さん(お父さん)は、ここにいるよ。あなたがそうやっている姿が好きよ」という気持ちで見守ってほしいのです。

子どもには「何かおもしろそう!」「不思議!」と感じて、新しい世界を発見し、もっと知りたいという欲求があります。そこに大人が共感的に関わっていくことで、相互に好影響を与えるでしょう。

子どもの世界を邪魔しない、大人のあたたかく共感的な関わりによって、子どもの探求心が最大限に発揮されます。それが長期的には非認知的な能力を伸ばすことになると考え、日々、子どもと関わっています。

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