「交渉する子育て」実践してみませんか?

子どもがおもちゃが欲しくてダダをこねているとき、保護者のみなさんだったら、どうしますか?「そんなこと言うんだったら、置いていくよ!」というのか、それとも「しょうがないなぁ、今度買ってあげるから」というのか、どちらが望ましい関わりといえるでしょうか?

ただ厳しくするのも違う気がするし、かといって子どもの要求をただ受け入れるのも違う気がすると感じている方が多いのではないでしょうか。

この時期に例年開催している保護者懇談会で、しばしばある質問の一つに、「子どものしつけって、どこまで厳しくしてどこまで子どもの気持ちを受け入れるんですか?」というものがあります。たしかに親が子どもに関わるなかで、どの程度厳しくしたらよいのかという問題は、本当に悩ましいものです。

自分の子育てでも経験があるのですが、ついつい子どもの要求に応じて、お菓子やモノを買ってあげたり、ゲームや動画を好きなようにやらせてしまったり……と、一見して「やさしい親」のように関わってしまうことがあります。また子どもが親の言うことをなかなか聞いてくれず、結果的に子どもの言いなりになってしまうケースもあることでしょう。あるいは子どもの思いを否定したくないことから、好きにさせているという考え方もあるかもしれません。

たしかに子どもの言い分や訴えを親があまり否定せずに受け入れているケースが多いと、子どもの自尊感情は高まりやすいと言われています。

しかし一方で何でも自分の思い通りになってきた子どもは、将来的に失敗や困難に直面した時に挫折しやすいとも言われています。思い通りにいかなかったときに相手に攻撃的になったり、社会規範を逸脱した問題行動が多くなったりすると考えられています。

では、冒頭の話に戻って、どうしたらよいのか考えてみます。子どもがおもちゃが欲しいのであれば、「どうしてこれがほしいの?」と、まずは問いかけてみることです。つまり子どもに「なぜそれほどまでにほしいのか」その気持ちを確認します。

そして、子どもの訴えをよく聞いた上で、買えないのであれば買えないと判断した理由を説明して、子どもに理解してもらいます。つまり「買う・買わない」を一方的に親が決めるのではなく、子どもと同じ目線で話し合うことが大切です。

僕はこれを「交渉する子育て」と呼んでいます。ポイントは、親が一方的に決めるのではなく二人で話し合い、決めていくことです。親には親の言い分があり、子どもには子どもの言い分があります。話し合いをしながら、着地点を探っていきます。

親は子どもの言い分を受け入れすぎないよう、子どもの成長を長期的に考え判断します。「○○だからお菓子は一つだけ」「ゲームは1時間まで」などの最低限のルールを親が決めて、その範囲内で自由にさせるのが良いのではないでしょうか。

その際、親がなぜそのルールが大事なのかを子どもに分かるように話をして、子どもと交渉してほしいと思います。幼児期から家庭でのルールづくりをし、「交渉する子育て」を実践していくことが、その後の子育てにも好循環をもたらします。(園長 福島 正晃)

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