各クラスの懇談会で、園の考え方や子育てにとって大事な視点を話しました。具体的には、子どもが自分で物事をすすめていく体験を積み重ね、生活の中で「自分でできることを増やしていく」ことについてです。
園生活では、自分の持ち物は自分でロッカーに入れたり、できる限り着替えを自分でやってもらったりと、自分のことは自分で行う生活を赤ちゃんの頃から大切にしています。写真がロッカーや下駄箱、帽子入れ、タオル掛け、着替え袋など、各所に貼ってあるのは、自分のものは自分で管理する習慣をつくるためです。
ご家庭でも、子どもが自分でできるルーティンを作り、習慣にしていくことをお薦めします。朝起きたら、「おはよう」のあいさつをして、顔を洗い、トイレに行く。
園から帰宅したら、決められた場所にかばんをしまう、汚れ物は自分で決まった場所に入れる。ご飯を食べたら、自分の食器は自分で片付ける、等々。子どもが自分でできるレベルを確認しながら、自分でできることを増やしていってほしいと思います。
子どもの成長において自分のことを自分でする習慣作りはとても大事で、そこには次の大事な視点が隠れています。
*物事を、誰かのせいではなく自分事として捉えるようにする
小学校へいって、忘れ物をしたらそれは親のせいでしょうか? 宿題をやらなくて怒られたら親のせいでしょうか? 物事を誰かのせいにしたり、他人任せにならないようにするためには、今から自分の持ち物は自分で管理したり、責任をもってやってもらう習慣作りが大事です。
*少し先の未来を見通した行動ができるようになる
生活の中に順番やルーティンを作り、これを自分でできるようになると、子どもは生活に見通しを持てるようになります。子どもながらに、計画性が芽生えてくるのです。そうすると、現在だけでなく、少し先の未来を見通した行動ができるように成長していきます。
子育ての最終目標は、人の力を借りながらも、将来自分の力で自分の人生を歩んでいく人間を育てることだと思います。私たち大人の役割は、子どもが無理なく「自立」していけるようどうサポートしたらよいのか、つまり愛情を注ぎながらも、成長の段階に応じてどう手を放していくのか、その加減を考えるのが大切です。
逆に、自分でできることを親が手をかけすぎたり口を出しすぎたりすることは、子どもの自立を阻むだけでなく、子どものやる気そのものを奪いかねません。子どものやる気や自己肯定感を高めるのに、ほめることを推奨する方がいますが、ここには注意が必要です。
特にほめることばかりしていると、それ自体が目的化してしまうことがあり、子どものやる気をそいでしまいます。
子どもだからといって子ども扱いするのではなく、「どうする?」「どうしたい?」という問いかけをして、子どもが自分で決める機会を多くつくっていくことです。その中で子どもの「できた」ことを大人が「認める」関わりが、子どものやる気や自己肯定感、チャレンジング精神を育てていきます。
子育てでは、やってあげるよりも、自分でできる部分をしっかりと見てあげることが大事なのです。
(園長 福島正晃)