五感を活用した遊びが子どもの成長には欠かせません

この4月から、14名の新入園児を迎えました。そこで今回は赤ちゃんの育ちにどんなことが大切なのかを考えたいと思います。

生まれてすぐの赤ちゃんは、視力もまだ弱く、表情もなく、モノの動きや音にもほとんど反応しません。二カ月目ぐらいから、上に吊り下げたものの動きを目で追ったり、人の声かけや音に反応しはじめます。そのうちに触ってみようと手を伸ばしたり、口に入れてなめようとします。

園でも、はいはいすらできない赤ちゃんの時期には、上からモビールをつるして、目で追うことができるようにしています。能動的に五感を使って、「これなんだろう?」と確かめられる、そんな環境が大事です。

人間の脳は、生後2か月から3カ月ぐらいまでに急激に成長し、5歳ぐらいで大人の脳と同じぐらいの重さになるといわれています。しかし、脳細胞の数自体は赤ちゃんも大人も変わらないといいます。脳細胞は、外界からの刺激によって、細胞間がつながり、神経回路を増やしていきます。その神経回路のつなぎめがシナプスと呼ばれています。シナプスが増えることで、脳のネットワークがどんどん密になり、情報がスムーズに伝わっていく、という仕組みです。

脳の発達を促すには、刺激が必要です。見る、聞く、触る、嗅ぐ、味わう―――この五感が刺激されることで、脳が働きます。外からの刺激が何もなければ、五感も開かれていきません。つまり脳のシナプスも増えていかず、脳が活性化していきません。

実際に自然物に触れ、五感をつかった体験がこの時期には大切です

五感の活用という点からすると、戸外で遊ぶことが一番の学びになります。季節によっては地面が凍ったり、雪を体験できたり、青い空の下、風を感じながら身体を動かしたりと・・・、戸外での遊びそのものが脳の成長を促していくと言っても過言ではありません。

逆に、五感の感受性が低いと、生きていくための大切な情報をキャッチすることもできませんし、自分にとって危険なことや不利な状況にも気づきにくくなります。

樹木や花に囲まれ陽射しや日影の中で、泥に触れたり身体を使いながら日々五感を通じて感覚を磨くことは、まさに生きる力の根幹なのです。特に乳幼児期には、五感を通した遊びが子どもの成長にとって最も効果があると考えられています。そんな園生活を大事にして、子どもたちと楽しく暮らしていきたいと思います。

(園長 福島正晃)

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