造形活動 子どもの創造する力を伸ばすには

そら・かぜ・たいよう組では、いろいろな素材を使って子どもたちが思い思いの製作遊びを楽しんでいます。年末には「大きくなった会」で使った衣装でファッションショーを行いましたが、年が明けた現在も衣装づくりに夢中になっている子が多くいます。このため子どもたちと相談して、再度ファッションショーをやる予定です。

幼児の造形活動は主に三つの要素に支えられていると考えています。一つは「感動体験」、もう一つは「素材や道具の豊富さ」、最後に「子どもの手先の器用さ」です。この三つは、いずれも相関関係にあって、どれが欠けても表現活動が難しくなってしまいます。

1、子どもが「やってみたい」、「おもしろそう…」「ステキ」と感情が揺さぶられる体験、感動体験が創作意欲を掻き立て、創意工夫のある表現を生み出します。先日色の順番をパスワードのようにして扉を開く仕組みを考え、これを工作にして私に見せに来てくれた子がいました。どこかで見て感動したものを、きっと自分で作りたくなったのでしょう。感動体験は、子どものモチベーションを向上させます。

2、素材や道具のバリエーションの豊富さも大切です。いろいろな種類の素材と、これを切る、貼る、折る、塗るなどができる道具や環境が、子どもたちの感触や感覚、創造力をより一層掻き立てていきます。例えばファッションショーの衣装づくりにおいても、色とりどりのカラーポリ袋があり、また糊やテープ、ハサミ、マジックなどの道具があります。あるいは廃材工作においても、大小の箱、厚紙や薄い紙・折り紙、紙筒や食品パック、卵パックなど多様な素材が溢れています。

3、手先の器用さを養うことは、子どもの成長・発達にとってとても大切です。造形活動には、ハサミを使って切ったり、糊で貼ったり、折りたたんだり、色鉛筆で塗ったりと、指や手を器用に使っていく技術が求められます。指や手を自在に使えるようになることが創作活動を支えています。実際に手は「第二の脳」だと言われています。手をよく動かすことで脳がどんどん活性化していき、脳とカラダの性能が向上させていきます。

当園でも手先の器用さを養うことについては、0歳児の頃から配慮しています。「型にはめる」、「ひもを通す」、「シールを貼る」おもちゃで遊び、にじ組(2歳児クラス)になると、手遊びをよく行います。例えば手遊びで3本指を立てるのは、この時期の子どもにはまだ難しいですが、繰り返し遊ぶ中で習得していきます。また実際の生活面でも、スプーンや箸を使う、食器を持つ、蛇口をひねるなど、手先の操作は欠かせません。年長さんになると、毛糸で手編みのマフラーをつくる、根気のいる作業ができるようになってきます。

子どもが感動したことやつくりたいと思うものを、様々な素材や道具で自由に表現ができる環境が園内にあること、そして手や指を自在に使えるように成長を促していくこと、こうした保育の視点が子どもの創造する力を伸ばしていきます。さて、2回目のファッションショーでは、どんな姿を見せてくれるのでしょうか。今から楽しみです。
(園長 福島 正晃)

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