「楽しさ」を「より楽しいもの」へと深化するには!?

うちの子ども園で大事にしたいことは、「一人ひとりが楽しく生活できること」と「一人ひとりの楽しみが大人や子ども同士の関わりの中でもっと楽しく豊かにしていくこと」です。

そのために子どもたちの興味をひき出すコーナーの環境をつくり、一人ひとりの「好き」や「楽しさ」が見つけられるよう工夫しています。これについては今まで何度か話してきました。

しかし自分一人だけでは、「楽しさ」を「より楽しくしていく」には限界があります。そこには大人や子ども同士の関わりを通した、相互の影響や刺激が欠かせません。

先日の「運動会」や「運動あそびの会」では、こうした相互の影響・関わり合いにつながる場面がたくさん見られました。その一つが、同じ身体の動きをしたりかけ声を合わせたりすることです。

動きをそろえ、かけ声を合わせたたいよう組さんの「バルーン」、タオルを回しながら同じかけ声をしたかぜ組さんの「まわせまわせ」、他のクラスでも音楽に合わせて同じ動きをする踊りをやっています。

お互いに身体の動きをそろえる中で、子どもたちは「声をそろえるって楽しいね」「一人ではなく、みんなでやるって楽しいな」そんな気持ちを交わし合っているのです。

運動会の練習の様子。みんなで身体の動きをそろえてみるって楽しい!

こうした身体を通してのコミュニケーションは、「相手の身になって考えること」や、他者の感情を理解する力の基礎になると考えられています。

運動会や運動あそびの会では、友だちが楽しそうに踊っている姿を見て思わず自分も身体を動かし楽しくなること、一緒にかけ声を合わせることに心地よさを感じること、いわば身体的なコミュニケーションを通した、大人と子ども、子ども同士の心の交流がありました。そこには身体的な共鳴からくる、言葉を超えた豊かさがあった気がします。

それはきっと一人ひとりの「楽しさ」が、身体を通した大人や友だちとの響き合いによって、「より楽しいもの」へと深化した体験だったはずです。

子どもは相手の動きをマネてるうちに、それをいつも間にか自分のものとして吸収していくことで、今までの自分を超えていきます。相手を自分の中に取り込むことで、自分の殻を破り、成長してくのです。運動会は、そんな貴重な経験ができる場だったと感じました。 

運動会のような行事に限らず、身体を通して子ども同士が気持ちを交流することはとても大切です。今後も子どもたちの体験がより楽しいものへと深化していくために身体表現を使った遊びや子ども同士の関わりを、効果的に活用していこうと考えています。
(園長 福島 正晃)

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