「自分ならできる」「自分なら何とかなる」といった、子どもの自己肯定感を育む重要性は、保育や教育の世界でよく言われるようになりました。
実は自己肯定感は気持ちの安定と深い関係があり、ある研究によると自己肯定感が高い状態にあるほどストレスの負荷が低いことがわかっています。
自己肯定感が高いとは、自分に対する自信のある状態ですから、その分だけ脅威や不安、否定的な感情を持ちにくくなるようです。
では自己肯定感を育んでいくには、実際にどうしたらよいのでしょうか。次のような環境が必要だと思われます。
- 否定されない、ダメ出しされない
- 失敗を咎められない
- 他人と比較されない
- 自分の意思や発言が尊重される
- できていることをきちんと評価される
- 自分の成長を実感できる
しかし「言うは易し行うは難し」で、保育士ならともかく、親子でこのような関わりを毎日実践するのは至難の業です。そこで、完璧ではないのですが……、私が子育ての中で心がけていたことを紹介します。
それは、その日にあった嬉しかったことを寝る前に聞いて、一緒に話すことです。子どもが体験した出来事を大人が意味づけてあげるのです。自分の体験した出来事を肯定的に捉えるのか、否定的に捉えるのかは、結局のところその人の解釈次第です。
子どもが自分の体験を否定的に語っているときに、これを肯定的に捉えられるよう、大人が軌道修正をしてあげます。
例えば「嬉しかったことを話してみて」と言っても、友だちとトラブルがあったことを話すこともあるでしょう。
そんな時もしかしたら大人は、「○○だからできないんだよ」とか「○○じゃあ、ダメでしょ!」「こうすればよかったんじゃない?」と言いたくなるかもしれません。
しかしそこをぐっとこらえて、子どもの気持ちを聞きだすようにします。「その時は、どんな気持ちだった?」「○○ちゃんのことは好きなの?」「今度はどうしたらいいと思う?」など、子どもが語る言葉を聞きながら、「失敗はOK!今度気をつければいいんだよ」「そんなふうに考えられているのであれば大丈夫!」と大人から肯定的に伝えてあげることが大切です。
しかもこうしたやりとりは、寝る前に、行うのが効果的です。睡眠は記憶を定着させる働きがあるため、嬉しかったことや自分なりに納得したというストーリーは、眠ることでプラスの経験として脳裏に刻まれます。
以上、子どもの自己肯定感を高める工夫として、子どもが体験した出来事に対して、大人がさりげなく肯定的な意味づけをする事例でした。
実はこの方法は大人でも有効だと思われます。寝る前に一日嬉しかったことを思い返して、寝る習慣をつけてみること、その積み重ねが自分への自信につながるかもしれません。