自分が子どもだった頃を思い出してみてください。
砂場で遊んだり、公園を駆け回ったり、ブランコに乗ったりと、そこに遊ぶ理由はありませんでした。ただ「やりたい」からやっているだけです。子どもはそこに友だちがいて、砂場やブランコがあれば、それなりに楽しく遊ぶことができます。家の中であっても、そこで遊びを見つけていくでしょう。
人は他の誰かから「やらされている」ときにはその理由を考えます。「なぜ勉強をやらなくてはいけないの?」、「なぜピアノを習わなくてはいけないの?」と。やりたいことをやっているときには、その理由を考えません。きっと幸せなはずです。
親が子どもの幸せを願うのであれば、「やりたい」ことを十分にやらせてあげることです。「やりたい」ことが見つからないのであれば、そのきっかけづくりを親が一緒に探してあげればよいと思います。
公園に出かけるのも、虫探しに出かけるのも、星を見に行くのもよいでしょう。子どもの興味を360度どこへでも伸ばせるように、できる限り「いっしょに」つき合ってあげられるとよいと思います。
そして「好きなことをたくさんやりなさい」、「したいことをしなさい」、「私たちはあなたが失敗しても不完全でもいつも応援していますよ」というメッセージを常日頃から送っているだけで、子どもは自分の力で育っていく部分も大きいと思います。
ただ子育ては、昨日今日で終わるものではなく長期戦です。「子どもの興味につきあってあげなくちゃいけない」と言って、いつも「○○してあげなくちゃいけない」と親が力を入れすぎると、体力的にも精神的にも持ちません。無理はしなくていいのです。ほどほどに肩の力を抜いた上で、「親も楽しい」「子どもも楽しい」と思えるところで、いろいろな遊びや体験にチャレンジしてみるのがよいのではないでしょうか。
園でも、今どんなことに子どもが興味を持っているのか、先生たちはいつもアンテナをはっています。子どもは好きなものや興味を持っているものにこそ、集中力を発揮します
。子どものやってみたいという気持ちを邪魔しないで「まずはやらせてみよう」とすると、子どもの好奇心や探求心がのびのびと育ちます。そうすると、いろいろな物事に対しても積極的に挑戦しようとします。そんな人生の土台となる育ちの力を乳幼児期に培っていきたい、そんな思いで日々保育に当たっています。