子どもは自ら成長する力を持っています【園長の保育雑談】

食事の場面で、こんなやりとりしていませんか?

子:「これ、もういらない!」
親:「これしか食べてないの?」
子:「だって、もういらないんだもん。」
親:「もっと食べられるでしょ? ほら「あーんしてみて!」」と子どものスプーンをもって、口の中に入れようとします。

 どこの家庭にもある光景だと思います。子どもの立場からすると、いつも横にずっとついて食べているかどうかを見張られ、「食べられない」と言うと「もっと食べられるでしょ!」と言われるのは、辛い気がします。

あるいは子どもが「いらない」と言っているのに、「食べないんだったら「○○はあげない」」とか「食べ終わるまで長い時間座らせておく」というような対応をしてしまうと、食事の時間そのものが、苦痛な時間になってしまいます。こうした関わりの背景には、おそらく「子どもは色々な事をよくわかっていないから、大人の言うとおりに「しつけ」てあげなくてはならない」という考えがある気がします。

保護者の方はご存知のように、大久保わかくさ子ども園では、食事の分量を子どもに聞いてよそっています。自分の食べる量は自分で決めてもらっています。そうすることで自分の好き嫌いや食べられる適量を知るためです。また、保育者も子どものそばで食べるのですが、それは注意するためではなく、一緒に食べることを楽しむためです。食べるメニュー(献立)、食べる場所、食べる時間は基本的に大人が決めますが、食べる分量は子どもが決めるのです。

子どもは成長していく中で、自分の好き嫌いや自分の食べられる適量を、自ら学んでいきます。また現時点で嫌いな食材があっても、それが将来にわたってずっと食べられないわけではありません。

園で大切にしていること、それは「子どもへの信頼感」と「自立を促す」ことです。食事の場面においても、これは同じです。以下のような点が重要だと思います。

  • 子どもは満腹や空腹などを自分なりに理解している。
  • 子どもは自分なりに好き嫌いを理解し、それは将来にわたって変化していく。
  • できる限り自分のことは自分で決める。

保護者の方々にお願いしたいことは、「小さいころから子どもが言っていることは受け止めてあげ、子どもの行動をできる限り自分で決めさせてほしい」ということです。

「子どもは考えることができないから」、「子どもは危ないから」ではなくて、例えば食事の場面であれば「どこまで食べられるの?」と尋ねてあげてください。無理に食べさせる必要はありません。子どもは、赤ちゃんの頃から自分でこれは食べたい、これは要らないと自分で意思表示ができます。

もし親が心配になるほど、子どもが食べなかったら「お母さん(お父さん)は、こんなちょっとしか食べないと、あなたの元気がなくなっちゃうから心配なのよ」と素直な気持ちを伝えればよいと思います。決して怒鳴ったり脅したりする必要はありません。それでも食べなかった場合には、「水分補給をしていれば大丈夫!」っていうぐらいのおおらかな気持ちで関わってほしいです。

忙しい中とは思いますが、時間があるときには、子どもの行動をぜひ観察してみてください。自分なりのこだわりや順番を考えて行動している姿(子どもなりの世界観?!)が垣間見えるかもしれません。子どもは自ら成長する力を持っている、こんな考え方で子どもと関わることが、子どもを肯定的にゆったりと見ることにつながります。

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