実はとても大事な仕掛け“調理室のマド”

先日、いつもより少し遅い時間に保育室へ入ったときのことです。そら組の子どもたちが、保育室と調理室の間の窓を挟んで、栄養士のTさんと楽しそうに交流していました。
何をしているのかと近づいてみると、透明なセロテープに即興で小さな絵を描き、それを指先に巻き「ネイルごっこ」の真っ最中でした。子どもたちは、自分の指をうれしそうに見せたり、次はどんな模様にしようかと考えたりしています。Tさんも一人ひとりのリクエストに応えながら、一緒になって楽しんでいました。

実は、調理室の職員と子どもたちが、このように日常的に言葉を交わし、自然に関わることができる構造の保育園は、あまり多くありません。窓越しに調理の様子を見られるよう工夫された園もありますが、調理室と保育室が開かれた形でつながり、互いの気配を身近に感じられる環境は、うちの園の特徴の一つです。

調理室が子どもたちの生活に近いことには、さまざまな良さがあります。食材を切る音や大鍋で湯を沸かす音、調理する職員の姿、そして部屋に漂ってくるおいしそうな匂い……。子どもたちは、五感を通して「今日の給食は何だろう」「何を作っているのかな」と、食べることへの興味を膨らませていきます。

食事が突然目の前に現れるのではなく、誰かが食材を準備し、心を込めて作っていることを自然に感じられるのです。こうした日々の経験を通して、食べることに興味を持ち、食事に前向きに向き合える子どもに育ってほしいと願っています。

そして、調理室が子どもの身近にあることは、食育だけでなく、冒頭のような人と人とのつながりも生み出します。現在、学校の夏休み期間をつかって、卒園した小学生たちが園の手伝いに来てくれます。調理室の職員も、成長した卒園児との再会を心待ちにしています。

子どもたちにとって、保育士だけが自分を見守る存在なのではありません。栄養士や調理員を含め、園で働くすべての職員が子どもたちと関わり、その成長を喜ぶ存在です。これからも、職員全員で子どもたちの育ちを温かく支えていきたいと思います。