乳幼児教育の目的は、「自ら育とうとする力」を伸ばすこと

子どもが小学校に入るまでの時期に身につける学びを「乳幼児教育」といいます。

「幼稚園は教育で、保育園は生活の場」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、保育園でも日々の生活や遊びの中にしっかりと教育が含まれています。

ただし、その内容は、きっとみなさんが一般的に思い浮かべる「勉強」とは少し違います。乳幼児教育の目的は、知識を教え込むことではなく、「これから先を生きていくための土台となる力」を育てることにあります。

その中心にあるのが、「自分からやってみたい」という気持ちです。赤ちゃんは、生まれながらに周りのものを見たり、触れたりしながら世界を知ろうとします。この「自分から関わろうとする力」こそが、子どもの成長の原動力です。

うちの園では、この「自分から」「主体的に」という姿勢を成長段階に合わせて大切に引き継ぎ、子どもが世界と意欲的に関わろうとする活動を以下の3つの柱で支えていきます。

(1) やってみたくなる環境づくり

子どもが思わず「やってみたい」と感じる環境を整えることを大切にしています。体を思いきり動かせる場所、じっくり遊び込める静かな場所、ごっこ遊びや製作ができるコーナーなど、子どもが自分で選べる空間を用意しています。

また、木の実や布、空き箱など、子どもの想像力次第で何にでも姿が変わる素材を配置し、創作意欲を引き出します。「どこで」「誰と」「何をして遊ぶか」を自分で選ぶ経験が、自立心の土台となっていきます。

(2)子どもに寄り添う保育者の関わり

保育者は、子どもに教える存在ではなく、一緒に考え、楽しむ「伴走者」です。子どもの気持ちに寄り添い、「どうしたい?」と問いかけながら、その思いを大切にします。すぐに答えを与えるのではなく、じっくり待つことで、子ども自身の考える力を引き出します。また、遊びが広がるように道具を提案したり、困ったときには気持ちを言葉にして伝えたりしながら、子ども同士の関わりも支えています。

(3) 子ども同士の関わりの中で育つ力

集団の中での経験も、子どもにとって大切な学びです。年上の子の姿にあこがれて真似をしたり、友だちと一緒に遊びを作り上げたりする中で、自然と意欲や工夫する力が育っていきます。また、意見がぶつかる場面では、自分たちで話し合いながら解決する経験を重ねます。こうしたやり取りの中で、相手を思いやる気持ちや社会性が育っていきます。

子どもが自分の力で歩んでいくため、乳幼児期に大切なのは、早く正解を出すことではありません。失敗したり試行錯誤しながら、「やってみることそのもの」を楽しむ経験が何より大切です。

「自分から関われば、世界は応えてくれる」…そんな実感を積み重ねることで、子どもはいわば万能的な自信を育んでいきます。私たちは子どもを「教えられる存在」ではなく、「自ら育とうとする力をもった存在」として大切にしています。

そして、大人が先回りして答えを与えるのではなく、私たちは、失敗さえも「面白い発見」に変えられるゆとりを持てるよう努めていきたいと思います。日々の遊びや生活の中で共に笑い、共に楽しみ、時には友とぶつかりながらも、夢中になって「いま」を楽しむ。そんなかけがえのない園生活が、一生を支える「根っこ」を強く、深く、育てていくのだと信じています。