「できるようになる」のその前に「遊び」があります

時々、他の保育園の先生が園の見学に来られることがあります。先日来られた保育士の方が、こんなことを言っていました。

園では、2〜3才でハサミの使い方を習得することが目標の一つになっているそうです。しかし、ハサミを使うことに興味のある子とそうでない子がおり、あまりやりたがらない子にも無理にやらせていることに違和感を持ち悩んでいるようでした。

その話を聞いて、ハサミの使い方を教える前に大事にしなければいけないことがあるのではないかと思いました。そこで、私たちの園ではどうしているのか、改めて考えてみました。

ハサミを操作するには、手を開いたり閉じたりする動きが必要です。「開いて、閉じる」という手先のコントロールは、ある日突然できるようになるものではありません。だからこそ当園では、日々の遊びの中に手先をたくさん使う工夫を散りばめています。

実際ににじ組(2歳児クラス)では、指先でつまむ「ひも通し」や「パズル」、手のひら全体から指先までの力加減を学ぶ「粘土あそび」を日常的に行っています。

さらに、ハサミの動かし方とよく似た筋肉を使う「トング」や「洗濯ばさみ」を使ったあそびも取り入れています。こうした楽しいあそびの積み重ねを通して、子どもたちは自ら手先を自由に動かせるようになり、その結果として、ハサミも徐々に使えるようになっていきます。

また、ハサミのような「指先の細かな動き」を支えているのは、実は「肩やひじ、腕全体の大きな動き」です。例えば、子どもたちが手づかみ食べを卒業し、スプーンなどの食具を使い始める時期、私たちは砂場に「小さなシャベル」をいつもより多めに用意することがあります。

シャベルで砂をたっぷり「すくう」というダイナミックなあそびは、実はスプーンで食べ物を「すくう」時のひじや手首の動かし方と、同じ身体の使い方をしています。砂場での泥あそびを通して、子どもたちは楽しみながら「ひじの角度や力加減」を身体に覚え込ませていきます。

私たちは、「ハサミが使える」「スプーンが持てる」という目に見える「結果」だけを追い求めてしまいがちです。しかし、実はその前段階にある子どもたちの身体の発達に寄り添ったあそびを用意することが、とても大切なのです。

今回の保育士さんのお話を通して、私自身も園で大切にしていることを改めて振り返ることができました。(主任保育士・堀)