先日、他園を見学する機会があり、初めて出会う子どもたちと関わる時間がありました。
「先生、なんていうの?」「〇〇ちゃんはね、こんなことできるよ。」そう言って自分の得意なことを見せてくれたり、「あの子は〇〇ちゃんだよ」とお友達を紹介してくれたりする子どもたち。初めて会った相手にも、飾ることなく、ためらいなくまっすぐに自分を知ってもらおうとする姿がとても印象に残りました。
私たち大人はどうでしょう。「こんなことを言ったらどう思われるだろう」「場の雰囲気を悪くしないだろうか」と相手を思いやるあまり、本当は「こうしたい」「こうしてもらえるとうれしい」という気持ちを飲み込んでしまうことがあります。
それは相手への配慮でもあり、日本人らしい美徳でもあります。しかし、その積み重ねが、時には気持ちのすれ違いや、見えないわだかまりにつながってしまうこともあります。
乳幼児期の子どもたちは、まだ言葉で十分に思いを伝えることができません。そのため、「貸してほしい」「いやだった」「まだ使いたかった」という気持ちが、時にはかみつきやたたく、などの行動となって表れることがあります。
保育者は、その行動だけを注意するのではなく、「何が嫌だったのかな」「どうしたかったのかな」と、その子の気持ちを受け止めます。そして、かまれた子にも「痛かったね」と寄り添いながら、お互いの思いを大切にしています。その積み重ねの中で、子どもたちは少しずつ、自分の気持ちを言葉で伝える方法や、相手の気持ちに気づく力を身につけていきます。
私たちは子どもたちに、人と関わる力を育んでほしいと願っています。しかし同時に、私たち大人もまた、子どもたちから大切なことを教えられています。
相手を知りたいと思うこと。そして、自分のことも知ってもらいたいと思うこと。そのどちらも、人と人とが信頼関係を築くための大切な土台です。
子どもたちの飾らない姿を見ていると、「相手を思いやること」と「自分の思いを伝えること」は、どちらか一方ではなく、どちらも大切なのだと改めて感じます。子どもたちのまっすぐなコミュニケーションは、日々成長している子どもたちだけでなく、私たち大人にも、人との関わり方の原点を思い出させてくれるように感じています。(副園長・大平)