不適切な保育を生まないための園づくり

先日、大阪府八尾市のこども園のニュースに関連して、保育園での虐待や不適切な保育を防ぐ取り組みについてTBSテレビから取材を受けました。

こちらからは、保育のなかで「子どもの権利」がどれだけ意識されているのか?について話しましたが、残念ながらすべてカットされていました。

これについては、以前もお話ししたので、こちらの記事をご覧ください。

静岡県裾野市のような事件を起こさないためには……(不適切な保育)

さて、そこで今回不適切な保育が起こらないために、当園ではどんなことを大事にして、どんな工夫をしているのかその一部を紹介します。

1、子どもの成長を応援する、という価値観を大切に

不適切な保育が生まれるような園では、何ごとにおいても子ども中心ではなく、大人都合が優先されてはいないでしょうか。

逆にいうと「子どもの成長、自立」を何よりも大切にするという価値観が園に根付いていれば、子どもを言い聞かせるために、暴言や威嚇、罰を与えるようなことは決してないと思います。

当園では「自立」を子どもの成長の中心に据え、「自分で考え、判断し、行動する力」を育むことを目指しています。具体的には、以下のことを大切にしています。

第一に「○○したい」や「○○が好き」という環境を園内でつくっていくことです。当園がすべてのクラスで、自由に玩具を取り出すことができたり、子どもの成長にちょうど適した玩具が置いてあるのはそのためです。

第二に保育者が子どもの成長を応援し、子どもが自分で考え行動できるようなサポートです。

園で赤ちゃんの頃から少しずつ着替えに挑戦したり、汚れ物を自分の場所へしまったりすることを取り入れているのはそのためです。その際には、保育者の優しくあたたかな関わりが、子どものやりたいという意欲を育みます。

第三に未熟な存在である子どもを、大人と同じように一人の人間として尊重することです。トラブルがあったとしても頭ごなしに叱るのではなく子どもの言い分を聞いたり、子どもの意見や思いを園の行事の内容に反映させたりするのは、そのためです。

2、子どもの権利を大切にする

当園では「不適切な保育の関わりチェックリスト」を、クラス単位で月1回チェックしています。これは複数の職員で実施しているのがポイントです。

保育士も人間なので、日常の中で子どもに上手くかかわれなかった場面も必ずありますが、それをチェックリストを手掛かりに振り返っています。

けして「ダメ出し」の場にするのではなく、まずは失敗や悩みを仲間に開示できること、そのうえで複数の職員の視点を取り入れて振り返り、対話を通じて解決の糸口を探ることが大切と考えています。

加えて、職員同士のコミュニケーションを目的とした会議を毎月行い、日々の保育に関する悩みや課題を話し合い、共有する場を大切にしています。

こうした職員間での対話を重ねることで、職場の風通しをよくしつつ、できる限り園の課題を見える化することを目指しています。

当園では、子どもの成長を第一に考えた保育の実践を、職員全員で支え合いながら進めていきたいと考えています。引き続き、子どもたちのためにより良い保育環境づくりを目指していきます。

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