「世界の車窓から」ふうに、頭の中にあの音楽を流しながらどうぞ。
午後、ふと外を見ると窓から事務室の中をチラチラ伺う人影がありました。
よく見ると何年も前に卒園したIちゃんでした。卒園以来で本当に久しぶりだったのですが「自転車で通りかかったから」と顔を見せにきてくれたのです。
数日後、また別の子が学校のお友達を連れて突然あらわれました。やはり卒園以来何年も会わなかったMちゃんです。
「わー大きくなったね!一瞬わからなかったよ」「今何年生になったのー」と何人もの知った顔の先生に囲まれてちょっと照れている様子でしたが、「どう?これが私の子ども園よ」というような得意げな顔で、友達に目配せしているのが印象的でした。そういえば先日来たIちゃんと同じ学年だったな、偶然でもこんな事があるのね。
「先生さようならー」お迎えのときOくんが事務室に挨拶に来てくれます。
仕事をしている先生が何人もいる中、一人一人のところに「〇〇先生さようならー」と丁寧に言って回っています。
私のところにも来てくれるかしら、とドキドキしていると「大平先生、さようなら」と来てくれました。「はい、さようなら。おっ、いいもの持っているね」「うん作ったの」とキラキラの剣を見せてくれました。
そんなやりとりがエネルギーチャージになって、またみんな仕事に戻るのでした。
夕方、エントランスあたりで大きな泣き声が聞こえます。「まだ遊びたかったんだよー」「でも、早く来れたから」「いやーだ、いやーだ、なんで来ちゃったのー」と、迎えに来たお母さんに駄々をこねています。何を言っても聞かず、お母さんはぐったり疲れていました。
別の場面「本当に悪かったよ、そんなつもりはなかったんだ、ごめんね」「……」「ごめんね、本当にごめんね」「……」「じゃあさ、向こうにいるから気分が落ち着いたら来てね」と、謝ってもなかなか許してくれない子に一生懸命言葉をかけていました。
また別の場面「先生、〇〇ちゃんが痛いんだって」とそらぐみの女の子の手を引いて連れてきてくれました。
どの場面も同じたいようぐみのYくんです。子ども社会の中で、友達との葛藤、年上の責任感、でもまだ甘えたい気持ち。今日も一日お疲れさま(お母さんも)
「園長先生いるー?」と夜になってひょっこり事務室に顔を出した卒園生のSくん。
学童が終わってお母さんと一緒に来たみたいです。「あれー、今日はもう園長先生帰っちゃったんだよね。D先生ならいるよ」というと、「じゃあ、おれちょっと遊んでくる。」と、勝手知ったる我が家のように保育室に入って行きました。「学校でなんかあったかな」と苦笑いする大人をよそに、Sくんは残っている子達とひとしきり遊んで、ちょっと満足したように帰って行きました。
事務室から見える子どもたちの姿に、ちょっとしたドラマを感じるのでした。もし私が優秀なDならこれだけで素晴らしいドキュメンタリーができるのに。タイトルは「大久保の子ども園から」。そのまんまですね。(副園長・大平)(園だよりには載せきれなかった完全版でお届けしています)