子ども同士の関わりから、仲間意識が育ってきています【園長の保育雑談】

子どもたちと関わっていると、興味深い出来事に出会うことがあります。
先日たいよう組の子どもたちを見ていたら、AくんとBくんがけんかをしていました。どうも太鼓をたたく順番をじゃんけんで決めたにもかかわらず(Aくんが最初に太鼓をたたくはずだった)、Bくんが最初に太鼓を長い時間たたいてしまったようなのです。CくんもAくんの味方に加わって、Bくんと言い合いになり、折り合いがつきそうにありません。
Aくん:「どうしてBくんは、最初に太鼓たたくの? おかしいじゃん、じゃんけんで負けたのに」
Bくん:「じゃんけんはしたけど、いつも俺は後じゃん!いつもAくんが最初なのはおかしいでしょ!」
Aくん:「だってBくんは、じゃんけんで負けてるからだよ。Aが太鼓をたたく時間短くなっちゃったじゃん。」
Cくん:「Bくん、謝りなよ!Bくんがわるいんだよ!」
Bくん:「オレはまた一人かよ! CくんはいつもAくんの味方をして、オレはいつもがまんしてんのに・・・!」
Bくんは泣き出し、Aくんもオレは悪くないと言って、その場から離れて行ってしまいました。私も事情を理解してBくんの気持ちも受け止めつつ、「今回はじゃんけんで負けたのだから、Aくんにちゃんと話して、謝った方がいいよ」とBくんに伝え、粘り強く説得しました。しかし、Bくんは「いっつもオレが悪者なんだよー!」と泣いていて、なかなか首をタテに振りません。
この様子を間近で見ていた、たいよう組の女の子たちがそれぞれの男の子たちのところへ行って何やら説得をし始めました。
私は、Bくんを説得に行ったDちゃんを近くで見ていました。
泣いているBくんの肩に手をまわして、「友だちでしょ? 仲良くあそぶ方が楽しいよ! 謝ればまた友だちだよ。Dちゃんも一緒に行ってあげるよ。」と声をかけながら、長いこと説得していました。
しかしやはりBくんは、泣きながらかたくなに首をタテに振りません。すると今度は、Dちゃんが泣きだしました。「みんな友だちなのに、おかしいよ!なんで友だちなのに…」と言って泣き出しました。
すると泣いているDちゃんの様子をしばらく見ていたBくんに、変化が現れ始めました。Dちゃんのそばにいって、「Dちゃんもう泣かないで、オレが謝るから」とDちゃんに話しかけています。Dちゃんの気持ちが、Bくんに伝わった瞬間でした。
その後BくんはDちゃんと一緒にAくんのところへ行きました。Aくんも他の女の子に説得されて、だいぶ気持ちが落ち着いていました。お互いに謝って仲直りすることができました。
大人の説得よりも、Dちゃんの泣いている姿から自分の気持ちを修正することができたBくん。そしてAくんにも説得に行ったお友だち。相手の気持ちを汲み取って、自分の気持ちを立て直すことができる、そんな仲間意識がたいよう組の中で育っていることを実感できた一幕でした。

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