新年度が始まったこともあり、改めて本園の保育理念「自立と貢献」について、説明したいと思います。
本園が目指すのは、「自立」し、「貢献」のできる子どもです。社会の構成員の一人として、大人だけでなく子ども同士との関わりから、人の役に立つことに喜びを感じる子どもを育てることです。
「自立」とは、自分のことが自分でできるようになること、そして自ら考え行動できることです。
子どもの成長は、誕生して自分では何もできない、いわば大人への「完全依存」の状態から、徐々に自分の足で立ち少しずつ「自立」へと向かっていきます。成長過程で「自分のことは自分でやろうとする」意欲や自我が少しずつ芽生えてきます。
しかし子どもが「自立」に向けて成長していくには、いくつか条件があると言われており、その中で特に大切なポイントを挙げてみます。
- 子どもがしたいこと・やりたいことを、ある程度実現できる環境がある
- 子どもができること・やろうとしていることを、大人が先回りしてやらない
- 子どもがくじけたときに、安心して帰る場所・人がいる
一方で子どもは、自分のことがある程度できるように「自立」してくると、他の子どもにも自分ができることをしてあげたいと思うようになります。誰かのために自分が何かをしてあげることに喜びを感じるようになるのです。これが「貢献」であり、「他者支援力」です。
以上の理念を実現するために、園では保育の中で主にこんな工夫を行っています。
(1)遊びのコーナーを設け、選択できるようにしています
子どもの「したい」「やりたい」という気持ちを叶える環境を大切にしています。またコーナーを複数用意し、いろいろな体験から興味が広がっていくように配慮しています。子どもの意思を尊重する環境が、そしていくつもある中から自分の好きな遊びを選択し意思決定をする環境が、子どもの「自立」を促します。
(2)保育者は穏やかな関わりを基本としています
保育者の関わりは「○○しなさい」と命令や指示を出すのではなく、「○○しようか?」「○○は楽しいよ」と提案するような形で、子どもを誘い込む言葉かけをしたり、また「○○しますか?」「どうしようか?」という形で、本人に決めさせる働きかけをしたりして、子どもの意思を尊重する関わりを大切にしています。
(3)異年齢での生活・保育を大切にしています
子どもが誰かのために何かをしてあげようとする気持ちになるために、0・1歳児クラスや3歳以上児クラスでは異年齢で生活しています。異年齢で生活することで、年上の子が年下の子を援助しようとする気持ちを持つようになります。発達が近い同年齢では、どうしても対抗意識が強くなってしまい、他者支援力を持ちにくくなります。
また異年齢保育には、「他者支援力」の面だけでなく「自立」を促すプラスの効果があると考えられます。例えば……
- 年少児は、年長児から刺激を受ける。
- 年長児は、年少児のお手本になることで自信をつけることができる。
- 年齢・発達の違う子どもに対して、自分の行動や自分の言い分を調節し、相手に合わせたりする。
私たちは、園の環境や保育者の関わりに留意し、子どもたちが「自立」し「貢献」できるよう保育にあたっていきたいと思います。