お菓子の箱でつくったカバン…、サランラップの芯でつくった剣や謎の装置たち。最近、園でつくった不思議なものたちを、お子さんが持ち帰っていませんか。
そら・かぜ・たいよう組では、こうした空き箱や使い終わった素材を用いた「廃材遊び」を積極的に取り入れています。まず、この「廃材」には、こんな特性があります。
- 扱いやすい。軽い、使いやすい、切りやすい、接着が容易、安全、など
- かたちや色を、違うものに結び付ける→見立てて遊ぶ想像力につながる
- 安価で、大量に手に入る
こうした特性から、廃材は保育・幼児教育の世界ではおなじみの存在です。
いやいや!「子どもの成長のためには、もっと良質で、本物のおもちゃを与えたほうがよいのでは?」といった声もあるかもしれません。確かにそれにも一理ありますね。より精巧で、出来が良いおもちゃは世の中にいくらでもあるのです。
しかし、特に3歳以上の幼児には、こうしたおもちゃ=完成品を与えて遊ぶ、ということよりも、「廃材遊び」のように、遊ぶものを自分自身で作り出すプロセスにこそ意義があると考えています。それは、道具の使い方など、単に技量的な向上につながるだけでなく、「廃材遊び」によって得られる、以下のような経験が大きいと思うのです。
・頭の中で自分の作りたいものをイメージし、現実にしていく力
・たとえ上手にできなかったとしても、そこに折り合いをつけ修正していく力
・素朴な素材を、さまざまなものに見立ててイメージをふくらませ、想像していく力
・自分の今の技量に合わせて、試行錯誤するプロセス
幼児期の子どもたちにとっての「廃材遊び」は、こうした育ちにつながる、とてもクリエイティブな営みなのです。
子どもの制作物は、大人からするとちょっと見栄えもよくないですよね…。しかし、子どもは大人とは違った視点でものをとらえています。「自分で工夫して作った」「友だちと一緒に作った」といったところで、子どもはものに愛着を感じていたりするのです。
もちろん、「子どもの工作は全部、大切に取っておいたほうがいい」と言っているわけではありませんよ!
そんなことをしてしまうと、もう家の中が空き箱工作だらけになってしまいますから。
例えば、これはスペースに限りがある保育園でもやっていることなんですが…「どうしても大事なものを一個だけ取っておこうね」と数を限定するとか、「来週になったら片づけようね」と期限をつける、あとは「写真に撮って記録として残しておく」など、ちょっとだけ子どもに寄り添ったことを試してみてほしいんです。
「またこんなものを持ってかえってきて…」というお言葉をちょっとだけ飲みこんで頂き、どうかあたたかい目で見守って頂けると幸いです。
(伊藤)