叱るときには、子どもの気持ちをしっかり聴いてあげよう

保育園や小学校で、先生がこんな対応をすることはないでしょうか。

例えば、子どもが自分の気持ちを抑えられなくなって、ついお友だちに手を出してしまったとき……

先生:「○○ちゃん、お友だちをぶつことはいいこと? わるいこと?」
子ども:「わるいこと……」
先生:「そうだよね、友だちをぶつのはわるいことだよね。じゃあ、どうしたらいいの?」
子ども:「ごめんって言う」
先生:「じゃあ、ちゃんと謝ろうか」
そしてこの後子どもは、お友だちに謝ります。

「一件落着!」のように見えますが、本当にそうでしょうか?

このような対応をみなさんはどう思われますか。「謝れば済むの?」、「形だけじゃないの?」等々、疑問を感じるのではないでしょうか。

違ったケースを考えてみると、このおかしさに気づくのではないでしょうか。

例えば高校生が万引きをした場合……

親:「万引きするって良いことだと思っているの?」
高校生:「わるいこと……」
親:「じゃあお店の人に謝ってきなさい」
高校生:お店の人に対して「ごめんなさい」と謝罪をする

親子で「ハイ、一件落着」……とはならないと思います。この後に「どうして万引きしたのか?」と質問して、万引きした理由を聞いてあげるのではないでしょうか。

同じように子どもも、その行いが良いか悪いかはともかく、その背後には必ず理由があるはずです。結果的に望ましくない行動だったとしても、どうしてその行動をしたのか、それはどういう気持ちから行ったのかを聞いてあげるべきです。(なかなか難しいと思いますが、できる限りやさしいトーンで聞いてあげましょう。)

子どもが「○○がイヤだった」と言ったら、「○○だと、すごくイヤな気持ちになるよね」と言って、子どもの気持ちを受け止め共感してあげることが大切です。子どもは大人が自分の気持ちを理解してくれるだけで、冷静に自分の行動を振り返って考えることができます。その上でだからといって「ぶっちゃうのはダメだよね」と諭してあげます。年中や年長の子どもであれば、その後「どうすればよかったのかな?」と子どもに問いかけて、子ども自身に考えてもらうのもとても大切なことです。

大人は「謝れば問題が解決する」と思いがちですが、そんなことは決してありません。大切なのは、ただ善悪を教え込むのではなく気持ちを聴いてあげた上で、子どもが自分なりに考えられるようにサポートすることです。そうした働きかけを繰り返す中で、相手の気持ちにも気づき、自分なりに事の良し悪しも考えられるようになってくるのです。

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