1月は各クラスで保護者懇談会が行われました。この1年の成長を振り返るとともに、進級や就学に向けて「今、大切にしたいこと」を共有する貴重な時間となりました。その中で私は、「自分のことは自分でする」習慣を通じて、自分の行動に責任を持つ力を育てるという話をしました。
先日、園でこんなことがありました。
寒い日にAちゃんが「マフラーを忘れた。お母さんが悪い」と怒っています。保育者が「Aちゃんのマフラーをお母さんが忘れたの?」と聞くと、「そう、お母さんが忘れた。だから寒い!」と言うのです。小学校へ行っても、「お母さんが準備してくれなかったから忘れ物をした」「お父さんが見てくれなかったから宿題ができなかった」と、誰かのせいにしてしまう子が実は少なくありません。
良かれと思って大人が手をかけすぎたり、先回りして準備してあげたりすることが日常になると、子どもは「誰かがやってくれるのが当たり前」になり、うまくいかない時に大人のせいにするようになってしまいます。
「子どものために良い就学環境を整えてあげたい」、「子どもの能力を少しでも高めてあげたい」、「子どもが他の友だちよりも遅れないように手を貸してあげたい」。子どもの将来を心配することは親として当然のことでしょう。
しかし、「これをしなさい」「あれはやめなさい」「これは良い・あれはダメ」と、周りの大人が子どもの意思を聞かずに全てジャッジし、決めてしまうように言い続けていると、子どもには自己決定の機会が与えられません。これでは自分で考えて行動する力や新しいことにチャレンジする姿勢が育ちません。そうではなく、今日の変化の激しい社会をたくましく生きていくためには、やはり自分のことに責任をもって行動していく力を育んでいくことが大切ではないでしょうか。
そのためには、今からできることを日々の生活の中で積み重ねてほしいと思います。大人が「手を出しすぎず、子どもがやるべきことは本人に任せる」姿勢を意識しながら、具体的には、生活の中で子どもが「自分のことを自分でする」ルーティンをつくることです。例えば……、
- 帰宅後、自分のかばんを決められた場所へ置く
- 着替えは自分で行う
- 朝、自分でパジャマを脱ぎ、顔を洗う
- 食べ終わったお皿を流し台に運ぶ
一つひとつは些細なことに見えると思います。しかし、この時期からの「自分のことを自分でやる」ことの積み重ねが、自立心を育み、物事を自分事にとらえる感性を育てていくと考えています。
ゲームやYouTubeとの付き合い方も同じです。親が一方的に「〇時まで」と決めるのではなく、「どうする?」「何時までにする?」と本人に相談し、決めてみてください。押し付けでなく、自分で決めた約束だからこそ、守れなかった時に「次はどうすればいいかな」と、自分を振り返る力が育つのです。大人は良い悪いをジャッジする裁判官ではなく、子どもと「どうしたらよいのか?」を一緒に考える相談者であってほしいのです。
子育てで大切なのは、小さいうちから「自分の人生を自分の足で歩いていく経験」を積むことだと私は考えています。大人が用意したレールの上を歩かせるのではなく、たとえ失敗したとしても「自分で選んだ道」を歩かせてほしいと思います。
進級・就学を控えた今の時期は、子ども自身も成長意欲がぐんと高まる時期です。ご家庭でもこの時期をチャンスととらえ、ぜひお子さんの「自分でできた!」を一緒に喜び、自立心の土台をつくれる関わりをしていくことをお勧めします。