4月初め、1階の3歳以上児のお部屋に行ってみると新しく入園した年長組のS君が大泣きしていました。保育者が色々声をかけても「おうちに帰りたい!」「ママがいい!」と聞く耳を持たず……初登園から3日目、張り詰めていた緊張の糸が切れてしまったようでした。
しばらく泣いていたS君のところに、同じクラスのYちゃんとH君が「どうしたの?」と声をかけてきました。「S君、新しい園に来て、お友達もいないし、お部屋にも慣れないし、心がドキドキして悲しくなってるんだよ」と話をすると、そうなんだ〜と神妙な表情でS君を見つめていました。
そして「(テラスの)ネット楽しいよ!」「今日はサーキットだよ!」と楽しいことを教えてくれる2人ですが、S君の涙は止まりません。そこで「そういえば、H君もそら組さんの時、ここの園に来たんだよね、その時どうだった?」と聞いてみると「ぼく、そら組だったから・・・」と言いながら当時を思い出しているようで、「(その時)寂しかった?」と聞くと「うん」とH君。
するとそれを聞いていたS君が少しずつ泣き止み私たちの会話に参加してくるようになりました。その後、YちゃんとH君が「あっち行こう」と手を差しのべるとS君も立ち上がり、3人で照れくさそうにおしゃべりしながら、朝の会に向かっていきました。S君の気持ちに寄り添ってくれた2人の気持ちと、自分と同じ経験をしたことがあるH君の存在にS君の心の扉が徐々に開いていったようでした。『子どもは、子ども同士の中で育っていく』まさにそんな一場面を見て嬉しくなりました。
今年も新しく入園してきたお友達もたくさんいます。お友達と一緒に過ごす中で嬉しさ、楽しさ、時には悲しみや怒りの気持ちを感じることもあるでしょう。たくさんの気持ちを経験しながらお友達っていいな、仲間っていいなという気持ちが園生活の中で育まれていけたらと思います。(堀)