毎年大きくなった会で事務室のメンバーは、舞台裏で道具出しの準備をしたり、場面転換や子どもの補助をしたりと、黒子に徹します。練習の段階から黒子として参加していると、表舞台からは見えない子どもの姿、保育者の姿が垣間見えます。
にじ組の子どもにとって「大きくなった会」は、初めての発表会です。子どもたちは緊張して恥ずかしくなったりするかと思いましたが、今年のにじ組はほとんどそんな様子はみせず、本番でもとても楽しそうにしていました。演目をふだんから親しんでいる歌や絵本を題材にしたためか、子どもたちにとっては日常の延長として楽しめたのではと思います。
一方担任の先生はというと、本番が近づくにつれ緊張が高まり、前日にA先生は「○○くんが休んだらどうしよう」「自分がうまく言えなかったらどうしよう」と、心配と緊張のあまり「吐きそう」と青い顔をしていました。当日の舞台袖では、子どもたちの様子を心配そうに見守るU先生の姿がありました。子どもたちの動きを一心にみつめ、終わると「はぁはぁ」しながら拍手をしていました。きっと息をするのも忘れていたのでしょう。でも本番の子どもたちの様子をみると、まさに「心配ご無用!」でしたね。
そら組の劇では子ども達がいろんな色のクレヨンになって登場します。慎重なSくんは練習当初なかなか舞台に出ようとしませんでした。次の練習でも参加しないかなと思ったら、シャーペンのお姉さんの助手になって登場しました。出る気になっただけでもよかったと思っていたら、次の練習では助手が3人に増えていました。本番は一体何人になるのか…。覚悟を決めたF先生は子ども達の分のシャーペンの衣装を用意していたそうです。
ところがいざ本番になると、みんな何事もなかったかのように自分のクレヨンの色になっていました。自分のペースで本番までの心の準備をしていたのでしょう。しかしここで思わぬことが起きました。これまでくろくんを演じていたYちゃんがいつも黒ばかりで嫌だよと、別の色の帽子をかぶって登場しました。
しかも途中で早着替えをして、次はシャーペンになって登場。歌のところでもしっかりシャーペンのお姉さんのお手伝いをしていました。まるで最初からストーリーにあったような流れです。もうタイトルは「へんしんクレヨンのくろくん」にしちゃいましょうか。
子どもも保育者も本番に至るまでの心の準備や葛藤が少なからずあります。今回こうした見えない部分に光をあてて、保護者の皆さんに紹介しました。
このあと大きくなった会の記録映像を配信する予定です。見えない部分にも思いを馳せながらご覧いただければと思います。