保育方針「自立と貢献」について【園長の保育雑談】

年度初めということで、改めて当子ども園のめざす保育についてお話しようと思います。

当園は「自立と貢献」を保育理念として掲げ、子ども同士が関わる集団の力を生かして、子どもが本来持っている能力を引き出すことを大切にしています。何もできない子どもに大人がすべて手を出したり、声をかけたりして教えるのではなく、子どもが持っている能力を信じて、これを引き出して育んでいく。これが私たちのめざす保育です。

子どもの能力を引き出すとは、大人が手を出し口を出して「○○をやりなさい」と指示をするのではなく、子どもが好奇心のままに動いて遊べる環境を整えることです。子どもはできないからと決めつけて何でも大人が手を出してやってしまうのは、過干渉であり保育とはいえません。赤ちゃんの頃から子どもが自分でできることを失敗を繰り返しながらも何度も挑戦していける関わりや環境が大切だと考えています。

この時保育者は、まず子どもが求めてきたときには応えてくれる存在でなくてはなりません。逆に言えば、求めていないときには、子どもがしていることにあえて踏み込まず、しっかりと見守っていること。子どもがやっていることに対して「あーでもない、こーでもない」と口を出すのは、子どもの自発性の芽を摘んでしまい、自立を阻害します。むしろ「○○したかったんだね」と子どもの行動や気持ちを他の言葉に置き換えたり、「これはどうしたらいいんだろう?」と子どもに考えさせたり、「どんな気持ちだった?」と自分の気持ちと向き合うように促したりする方が、子どもの自立をどんどん促進させます。

そしてもう一つ、保育者が大切にしなくてはならないことは、子どもの気持ちをあたたかく受け止め、落ち着いた雰囲気をつくり出すことです。保育者が大きな声を出したり、慌ただしく動いたり、声掛けそのものが多かったりするのは、特別な場合を除き避けなくてはなりません。保育者の役割は、子どもが落ち着いた環境の中で豊かに生き生きとあそび、生活できるように黒子となって支えることなのです。子どもの興味や成長発達にあったおもちゃをそろえ、各部屋のコーナーに配置しておくのはそのためです。

最後にこのような保育実践の根底には「本来子どもは望ましい方向に育つ力を持っている」という子ども観があります。つまり「子どもは自ら自分の能力を開花する力を持っている」と大人が信じることなのです。子どもの存在を肯定的に受け止めることによって、子どもは意欲的に生活するようになり、少しずつ自らの力で世界を切り開いていく力を獲得していきます。

こうした保育観を基本にすえて、私たちは日々保育実践を行っていることを保護者の皆さまにも理解していただきたいと思っています。ご協力の程、どうぞよろしくお願いいたします。

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