「みんなそろって、いただきます」をやめたわけ

5月には各クラス保護者懇談会を行いました。直接皆さんとお会いしての懇談会は、2年ぶりでしょうか。ほんの短い時間でしたが、保護者同士と私たちが直接顔を突き合わせてお話しできたことがとても楽しく有意義なものだと感じました。また保護者の皆さんから、ご相談やお悩みを聞くことができたのも嬉しく思いました。本当にありがとうございました。

今回はその中であがった質問についてお話します。こんな質問がありました。

「2歳児クラスまではみんなが揃うのを待って“いただきます”をして食事をしています。でも3歳以上児クラスになると、みんな一緒にではなくて、子どものペースに合わせて食べるようになると聞きました。どうして3歳以上になると、みんなで一緒に“いただきます”をしなくなるのでしょうか?

もともとは3歳以上児クラスでも、みんなが揃うまで待って全員一緒に「いただきます」をしていました。しかし一緒にいただきますとなると、最初の方に配膳された子どもの待つ時間が長いことから、実はコロナが始まる前からすでにテーブルに6人集まったら食べ始めることにしていました。

その後コロナがやってきて、密集を避けることもあり、みんな一緒に「いただきます」は完全にやらなくなりました。ちなみに3歳未満児では、時間の見通しをもって生活するのは難しいため、現在もみんな揃ってから食べ始めます。

3歳以上児クラスの食事の様子

現在3歳以上児クラスでは、次のようなルールで食事をしています。

  • 6人掛けテーブルで4人で食べる。テーブルに4人揃ったらグループで「いただきます」をして食べる。
  • 12時~12時45分の間に食べ始め・食べ終わるようにする。
  • たいよう組は、トレーで食事を運びアトリエで食べてもよい。

遊びにおいて、誰とどこで何して遊ぶのかを自分で決められるように、食事においても、上記の時間帯であれば自分のタイミングで誰と一緒に食べるのかを決められるようにしています。。子どもたちは仲の良い友だちと同じテーブルで食べたり、空いている席に「入れて」と言ったりして、楽しく食べています。各テーブルは、異年齢であったり、同年齢であったりと、いろいろです。自分で決めた量を、何より楽しく食べることが大切です。

アトリエで昼食中の5歳児たいよう組

うちの園の保育・教育目標の一つに「自ら考え行動する」があります。遊びや食事の場面において、自分で決めて行動できるというその積み重ねは、自己肯定感や自信をもって生きていく力を育むと考えられます。また「自分で考えて行動できる」ことは、子ども自身が「当事者意識」をもつことでもあり、自分の思いや、自分のペースを大事にされることでもあります。

そして自己肯定感の育ちの背後には、安心した生活ができるよう大人の穏やかな関わりや配慮、励ましが非常に大切です。食事の仕方の中にも、そうした保育の基礎・基本を大事にしながら、お子さんの成長に関わっていきたいと思います。