「かぜ」は健康な身体作りに欠かせない!

私も子どもがいるのですが、小さい頃は本当によく体調をくずしました。保育園に預けていて、園からの電話は突然の予定変更を余儀なくされたので、本当にびくびくしていました。しかし考えてみれば、子どもがかぜをひくのは当たり前です。

赤ちゃんは無菌状態で生まれ、生後3か月ごろまで母親からもらった免疫に守られて、ウィルスや細菌に感染しないといわれています。しかしこの時期ぐらいを過ぎると、母親からもらった免疫抗体が枯渇し始め、途端に病気にかかりやすくなります。このため、赤ちゃんのうちに、はしかや結核など重症化しやすい感染症の予防接種が推奨されるわけです。

その他にも様々な病気の原因であるウィルスや細菌は、調べてみると300種以上もあるようです。当然、免疫抗体がなくなりつつある子どもは、ウィルスや細菌にさらされるのです。では、こういったウィルスや細菌に感染しないためにはどうしたらいいでしょうか?

園生活の中で、泥や土にもふれながら感染症への免疫力を獲得していきます

保育園に預けると、0歳から2歳ぐらいまでは、かぜなどで体調を崩して休むことが頻繁にあります。
親によっては、うちの子は体が弱いのかな、園にいると次から次へとうつってしまうので、園にいかせたくないなと感じてしまうこともあるかもしれません。

「熱を出して子どもがかわいそう」という親の思いはもっともです。子どもを守るために、例えば自宅の中だけにいるとは、無菌環境とは言いませんが、たしかに感染リスクを下げ、子どもは体調をくずしません。しかし、今後保育園だけでなく小学校や中学校へと行き、通常の社会生活を送るためには、小さいうちから免疫抗体をつくることがとても大切です。結局のところ長期的にみると、ウィルスや細菌に感染し、早く免疫を獲得するのが得策なのです。小さいころからこれをくりかえし、徐々に体調を崩しにくい身体になっていくのです。

そこで、保護者の皆さんにお願いがあります。それはコロナウィルスを含めて、ウィルスや細菌の感染症に対して過剰に怖がらないでほしいのです。子どもの心身を健康にかつ丈夫に育てていくためには、外遊びをし、時には子ども同士で群れて遊ぶことが欠かせません。その過程で多くの雑菌にも触れていきますが、こうした体験が子どもたちの体内に免疫抗体をつくりだしていくのです。

もちろんその間発熱したり、下痢をしたりすることもあるかもしれません。しかし大切なのは、成長後のことを見すえて、小さいうちから軽いかぜを繰り返して免疫力を高めていくことだと思います。

清潔な環境や無菌状態は理想ではありますが、そこには病気に負けない身体づくりという視点が欠けている気がします。お医者さんの助言のもと、いろいろな病気をうまく乗り越え克服していくことが、子どもの成長には大事なのではないでしょうか。