子どもへの寄り添いはどうして大事?3つのポイント

食事の前に、子どもが夢中になって遊んでいるが、大人からすると、このタイミングでやられると食事がどんどん遅くなるから、もう終わりにしてほしい…。あるいは子どもと出かけた帰り道、子どもが立ち止まって、何かを見つめはじめた……大人の方は、早く帰りたくて仕方ないのに……。

こんなケースって、子育てをしているとよくあると思います。こんな時、子どもにどんなふうに声をかけたらよいでしょうか。

一番目の例であれば、「もう食事の時間だから、この続きは後にしなさい」と言うべきでしょうか。そして二番目は「もう帰りますよ。見ていると遅くなるから、もう行くよ。止まらないで、歩いて!」とか何とか言うべきでしょうか。中には、モノでつればいいと考える方もいるかもしれません。例えば「今パズルをやめて、食事を食べれば、○○あげるよ」とか、「早く帰ったら、○○を買ってあげるよ」など、大人の思い通り子どもを動かすために、報酬を与えることを是とする方もいるかもしれません。

さて当園では、こういったケースがあった時には、できる限り子どもの意思に寄り添った対応をしたいと考えています(もちろん状況によってはそうじゃないケースもあるかもしれませんが……)。食事の前にパズルを完成させようとしていたら、「じゃあ、パズルが完成したら、食べようね」と対応していることと思います。

しかしそもそも、なぜ子どもの意思に寄り添うことは大事なのでしょうか?

人間の心には、赤ちゃんの頃から三つの欲求があるといわれています。

  • 他人に強制されるのではなく、自分の意思で決めたい欲求(自発性)
  • 自分は何かをできるようになりたい、達成したいという欲求(有能感)
  • 他人とつながりたいという欲求(関係性)

こうした心の三大欲求が満たされることが、私たちの幸福度や満足度を高めますが、これは子どももまったく同じです。ともすると大人は、子どもは不完全で未熟だという理由から、大人都合で子どもを動かそうとすることがあります。しかしそれでは、心の三大欲求が満たされず、子どもの心の根っこが健やかに育っていきません。

そして心の三大欲求を基本にした大人の関わりとして大切になるのが、①子どもの気持ちに共感する、②理由を説明する、③子どもに選択肢を与えたり、問いかけて決めてもらったりする、そんな方法が考えられます。逆に望ましくないのは、罰による脅しや褒美を与えたりすることです。「○○ができないなら、××をやらない」とか「○○ができたら、××を買ってあげる」というやり方は、外から支配・コントロールをしていることになり、自分の意思で決める感覚が育ちません。

ただそうはいっても、大人にだって大人の都合はあります。常に子どもの意思に添えるわけではありません。「できる限り」のレベルは、その時々の状況に応じてかと思います。

いずれにしても、「自発性」「有能感」「関係性」という心の三大欲求を頭の片隅におきながら子育てしていると、子どもの「心の根っこ」がゆっくりと健やかに育っていくのではないかと考えています。

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