園長の保育雑談2月

子どもの良さを気づかせる働きかけって、どんなふうにやっていますか?
どの子にもかけがえのない「個性的な良さ」が備わっていることを前提に、子どもと関わっていくことはとても大切です。この子の「良さ」は何だろうと考え、これを発見していく。「Aちゃんはこんなところがおもしろい」、「Bちゃんはこんないいところがある」、こんなふうにすべての子について感じる力、これは子育てをする中でとても大切な姿勢だと私は思っています。
また同時に、子どもにその良さを気づかせてあげるのも大切な役割の一つです。「○○ちゃんの良さって、こういうところだよ」と伝えてもいいし、「先生は○○ちゃんの良いところはちゃんと知っているよ」と折に触れて態度で示し、子どもを安心させる方法もあるでしょう。子どもはその良さを教えられて自分で気づく。つまり個性的な良さを感じとって、それを認め、日頃から繰り返し伝えていくのです。
子どもに良さを伝えていくことは、成長過程の中で周囲の人や世界に対する基本的な信頼感を身につけるために、とても大切な役割を果たします。子どもはそうした基本的な信頼感を踏み台にして、自分で自分の行為や行動をコントロールする力を身につけていき、自律や自制の能力も芽生えてきます。厳しくしつけることで、自制心が育つわけではありません。
しかしだからといって、子どもの行いを何でも「ほめなさい」と言っているわけではありません。例えば絵を描くことが純粋に好きな子には、大人は子どもの頑張っている姿を見るとついほめたくなります。ただ教育論的には、この場合ストレートにほめるのはあまり効果が得られないと言われています。「えらいね」「上手だね」などと何度もほめると、絵を描くことへの興味が急速に失われてしまうことがあります。子どもからすればほめられ続けることで、「自分は絵を描くことが好きだったのではなく、ほめられたくてやっているのかな?」と錯覚するようになってしまうのです。「絵を描くことが楽しい」という気持ちよりも、「ほめられたいという気持ち」の方が強くなってしまうのです。
この場合、その子の「行為」をほめるのではなくて、できあがった「作品」
をほめるのがよいと考えられています。例えば「この絵、お母さんは好きだ
なあ」とか言って、作品に対する感想を言えばいいのです。
「子どもの良さ」を認めるということには賛成なのですが、「上手だね」や
「えらいね」というほめ方は極力避けて、「○○すると気持ちがいいね」と、
本人の好きという気持ち(内発的な動機)を減じることがないように配慮する
必要があります。ほめられるからその行為を行うようになってしまっては、
長続きはしないし、もともと子どもが持っている「個性的な良さ」を台無(だいな)しにしてしまいます。
これはいろいろな場面でも応用できます。100点取ったら「えらいね」「すごいね」と言うのではなくて、「全部正解だと気持ちがいいね」と言ってあげたり、食事を全部きれいに食べられたら「お皿がピッカリンだと気持ちがいいね」と言ってあげたり…。
子どもの「良さ」を気づかせてあげるのは、大人の役割としてとても大切なことです。今回「成長展」が子ども園で開催されます。子どもの「良さ」を伝える絶好の機会ですので、これを伝える際には少し工夫してみてはいかがでしょうか。