園長の保育雑談 6月

どもの思いに耳を傾けてみませんか?

 親が子どものためによかれと思って、子どもの意見や思いよりも親の判断や考えを優先させて、上から目線で指示や命令をしてしまうことはありませんか?

 たしかに、経験が少ない子どもは自分自身のことを判断することが困難なことが多々あります。例えば予防接種意味を理解して、自分から痛いけど予防注射を受けなくてはならないと判断する子どもはいないでしょう。本人の意志(注射は痛いからイヤだ!)に反して、大人が代わりに判断しなくてはならないことが許されるのは、それが子どもの利益につながる善行とみなされるからです。

 でも、ともすると私たちは、立場の弱い子どもの自己決定権や表現する自由(じゆう)を無視し、大人は子どもよりもいろいろと経験しているからという理由で、大人の意のままに子どもを操ってしまうことがある気がします。しかしこれでは、子どもの「やりたい」という意欲や探求心、創造力は育ちません。たとえ不完全であったとしても子どもの思いを受け止め、これを実現できるように応援していくことが大人の役割ではないでしょうか。

 ちなみに意欲的にそして自発的に子どもに行動してもらうためには、否定語を避け、できるだけ肯定的な言い方をすることが大事です。例えば「おもちゃを片づけないと、もうあそばせない」とたしなめると、ここには「ない」という否定語が2回も入っています。こうした言い方だと子どもは単に叱られたと感じてしまうかもしれません。そうではなく「おもちゃを片づけて、また今度あそぼうね」と肯定的な言い方にしたらどうでしょう。他にも室内を「走ってはいけない!」とか「走っちゃダメ!」と禁止するのではなくて、「走ると転んで痛くしちゃうよ」とか「今度外でたくさん走ってみよう!」などと、肯定的な言い方に変えてみるのもいいですね。

 肯定的な言い方でことばや表現に配慮したほうがよいと提案する理由は、もちろん子どものやる気を尊重するためですが、他にもがまんしなくてはならない場面では大人から指示されて行うのではなく、自分で考えてがまんしてほしいからです。子どもにとって(大人も同じですが)自分の行動を理由もなく「ダメ」と否定されることは、自分自身を否定されていることに他なりません。できる限り肯定的なことばを使うことで、子ども本人の自制心を通じて「積極的にがまんする」ように導くことが大切です。

 大人が感情に任せて叱ったり、上から目線で考えを押し付けたりする(○○するのが正(ただ)しかった、○○とやるべきだった等)のは、教育とは言えません。子ども自身が、自分のことは自分で決めて、自らの力で未来を切り開いていけるように、「自信」を持たせていくことが大切ではないでしょうか。そのためには、子どもの思いや気持ちに丁寧に耳を傾けた上で、肯定的なメッセージを丁寧に伝えるということを心がけたいものです。